工場の温度管理、湿度管理について

工場において温湿度管理を適切に行うことは、労働者に対する配慮、品質管理や設備の安定稼働、といった点から非常に重要です。工場における温湿度管理の必要性について紹介します。

労働者に対する配慮「労働安全衛生規則」

「労働安全衛生規則」とは、主に製造業に従事する労働者の安全と衛生を守るための法令です。温度や湿度については第三編、衛生基準の第五章温度及び湿度に規定されています。

では具体的にみてみましょう。最もわかりやすい条文は、第606条です。

「事業者は、暑熱、寒冷又は多湿の屋内作業場で、有害のおそれがあるものについては、冷房、暖房、通風等適当な温湿度調節の措置を講じなければならない」(安全衛生情報センター、「労働安全衛生規則 」、第606条)

つまり、基本的には暑い部屋や寒い部屋などで、室温によるリスクが考えられる場合にはエアコンや扇風機を用いて労働者にとって適切な環境をつくらなければならないということです。しかし、溶鉱炉のそばのように空調設備に限界がある場所や、冷蔵庫内のように、そもそも機能として温度を変えることができない場所も存在します。そのような場所では作業環境の把握のため、定期的な温度測定が義務づけられています。

工場における温度、湿度管理

工場内の温度や湿度設定は、品質管理の側面から扱う素材に合わせて大きく異なります。ここでは工場における代表的な環境と、その温度、湿度の管理内容についてご紹介します。

食品工場

食品工場では温度と湿度の管理は非常に重要です。例えば惣菜加工工場では、温度や湿度が高くなると食中毒の危険性が増してしまいます。そのため一般的に、空調を用いて15℃から20℃程度の室温に保たれているところがほとんどです。また精肉工場のように、生鮮食品を扱う工場では温度管理はさらに厳しくなります。食品の温度が上がってしまうと品質の低下を招いてしまうため、室温が5℃前後に設定されている工場も多いようです。一方で、ポテトチップスやビスケットなど、常温保存できる食品の製造工場では、惣菜や生鮮食品を扱う工場ほど厳しい温度管理はされていないことがほとんどです。

温度や湿度の管理を厳しくすることは、空調にかかる光熱費や点検費用などのランニングコストにも関わることですので、扱う食品の特性に合わせた環境づくりが大切になります。

クリーンルーム

製薬工場や精密機器、電子機器などの工場にはクリーンルームが設けられていることがあります。埃(ホコリ)を入れないために外気を遮断することになりますので、内部の温度や湿度が上がりすぎないよう適切な空調を行う必要があります。エアコンを用いて状況に応じ温度調節のできるクリーンルームもありますが、室温23℃前後、湿度55%前後に固定されていることが多いようです。

 

精密機器工場

電子機器や精密機器の製造工場では、一般的に静電気を嫌います。静電気により回路が破損するなどの問題が発生するケースが多いからです。このような工場では、目安として湿度を40%以上に保つのが一般的です。また、精密機械にはさびやすい金属部分を持つものも多くあります。サビを防ぐためには湿度を50%以下に保つと良いといわれていますので、静電気対策とサビ防止の両方を行いたい場合には、湿度を40%から50%の間に保つといいでしょう。

温度に関しては、精密機械の場合、一般的な室温であれば品質に問題をおよぼすことはまれでしょう。そのため、室温は18℃から26℃の間で、作業をする人が不快にならない程度に調整しているようです。

産業用機器、加工機械

工場において温度管理が必要なのは工場内の空気だけではありません。工場で稼働する産業用機器や加工機械にも温度管理が必要なものがあります。例えば金属を刃物で削る切削加工機などの場合、強い力のかかる歯先や機械のモーター部分などから熱が発生します。これにより加工しているワークや刃物、それを支えるアームなどが熱膨張を起こしてしまうと、加工の精度が悪くなるなどの問題に繋がる可能性があるからです。そのため金属を削る場合には加工している部分に油を流し続けたり、機械の中に水冷のパイプを通したりするなどの対策が行われています。使う機械や稼働条件に適した冷却方法を選ぶことが必要になります。

また、自動車等の各種製造工程におけるプレスマシンや、溶接、塗装に使われるロボットアーム等の機械を制御する制御盤も、熱を発する様々な機器で構成されているため、熱暴走や誤動作による不具合を避け、安定稼動と品質を保持するために、専用のクーラーやファン等による的確な温度管理が必須です。

サーバールームの温度管理

温度管理が重要になるのは工場だけではありません。サーバールームにおいても温度管理は重要な課題のひとつに挙げられています。
サーバーに使われている半導体や電子部品は一般的に熱に弱く、40℃のときの故障率を1とすると、60℃では10倍、80℃では100倍にもなるといわれています。一方でCPUの高性能化に伴い、サーバーからの発熱量は年々増えている状況です。万一、サーバーの故障やサーバーダウンが発生すると、通信網の寸断など、大きな損失につながるリスクがありますので、温度管理には注意を払わなくてはいけません。
サーバールームの温度管理においては、空調システムを整えることに加え、サーバーラックに冷却装置を取り付けてサーバーそのものを冷却するケースも多くあります。また、並んだサーバーに対して、入っていく空気(冷気の送風)と出て行く空気(熱排気)の流れの方向を一律化し、コールドアイル(冷気の通路)とホットアイル(熱気の通路)を設けて効率的な空調が行えるような工夫がされていることもあります。
またサーバールームも、精密機器工場と同様に、静電気およびサビ防止の必要があるため、湿度は40%から50%の間で管理されるのが一般的です。

 

参考:

・ 労働安全衛生規則 第五章 温度及び湿度(第六百六条-第六百十二条)|安全衛生情報センター

・ 労働安全衛生規則 第三編 衛生基準 第一章 有害な作業環境(第五百七十六条-第五百九十二条)|安全衛生情報センター

・ 製品Q&A|ホクト総研

・ 作業室の温度|フーズデザイン

・ データセンター管理では湿度にも要注意|TechTargetジャパン

・ リタール㈱ 温度管理システム


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