ファクトリーオートメーションの流れに乗り、ますます加速する工場の省人化

工場の省人化は近年、ファクトリーオートメーションの流れによってますます加速しています。なぜ省人化が進むのか、省人化を進めていくために必要なことについて考察します。

省人化のニーズ

工場(製造業)に限らず、今や少子高齢化による人材不足問題はどの業界にも起こっています。
政府の統計によれば、15歳から64歳の生産年齢人口(生産活動の中核をなす労働力となりうる年齢の人口)は1995年の8,700万人をピークに減少しはじめ、2016年には7,600万人にまで減少しました。1947年から1949年に生まれた、いわゆる団塊の世代が65歳に達し生産年齢人口から外れたことも、大幅に数が減少した理由のひとつといわれています。今後さらに、急速に進む少子化の影響により、生産年齢人口から外れていく人数が、生産年齢人口に入っていく人数を大幅に上回る状況が続きます。出生数や死亡率に大きな変化がなければ、生産年齢人口は2025年には7,000万人、2050年ごろには5,000万人まで減少すると考えられているのです。簡単にいうと、現在は76人で操業している工場を、2025年には70人、2050年には50人で操業しなくてはならないわけです。


企業にとっては人材確保が難しくなると同時に、いかに少ない人数で、無理なく工場を稼働させていくかが今後の課題となってきます。

省人化が進行する製造業の現場

工場の省人化を論ずるうえで把握しておきたいのは、ファクトリーオートメーションの動向です。ファクトリーオートメーションとは、文字どおり工場自動化のこと。古くは1955年ごろの高度経済成長期までさかのぼります。


ファクトリーオートメーションのはじまりは、連続圧延機による工程の連続化でした。その後、IC(集積回路)の登場により産業用ロボットの開発が盛んになります。当時のファクトリーオートメーションには、作業速度や正確性を高めるために人間の作業を自動化するという側面がありました。例えば生産ラインにおいて、次の工程を判断するのは人間でした。人間が指示を出して機械が作業を行うというように、人間と機械の役割が明確に分かれていました。


しかし近年、人工知能(AI)の発展により、これまでは人間が行っていた判断の領域を機械が肩代わりする場面も増えてきました。例えば、加工済み製品をカメラ撮影して画像解析にかけ、不良品を検出するような場面です。製品の傷を検出する場合には、傷の位置や大きさ、数なども検知可能です。従来なら人間がゲージなどと照合しながら手作業で行っていた作業を、AI搭載ロボットが自動で行うのです。


またIoT(モノのインターネット)の広がりにより、作業工程の効率化が進みました。例えば、従来は作業員を配置して計器の観測、記録を行っていた部分を、生産機械が自動で測定し、結果をサーバーに保管するところまでできるようになりました。その結果、工場全体の機械の稼働率や、工場管理に関わる内容も、機械とコンピューターで管理することが可能になります。


また大手建設機械メーカーでは、土手などの形状データをドローンにより自動で3D化し、完成図を描いた図面との差分から自動で作業を進めるパワーショベルの開発も進められています。


こうしたAIやIoTの発展により、従来は「人でなければできなかったこと」が機械により自動化される動きが広がっています。この自動化をさらに進展させることが、今後の生産年齢人口の減少問題を解決する鍵のひとつになるのではないかと期待されています。

国際的な協力体制のもとで進む省人化

2017年3月、日本とドイツ両政府は「ハノーバー宣言」を採択しました。これはインダストリー4.0ともいわれる第4次産業革命に関わる先端技術で両国が協力していくという宣言です。第4次産業革命とは、蒸気機関による機械化が進められた第1次産業革命、分業による大量生産が進められた第2次産業革命、エレクトロニクスによる自動化が進んだ第3次産業革命に続き、インターネットとモノの融合による産業革命といわれています。


ハノーバー宣言では、日本とドイツが協力し、IoT関連技術やサイバーセキュリティについて国際標準規格を両国主導で提案していく方針を固めています。インターネットは世界規模のつながりです。IoTによりモノとインターネットがつながるということは、例えば海外にある工作機械の稼働状況がインターネットを介して日本から確認できたり、海外の工作機械の操作を日本から行うことができたりすることです。その際、日本と海外とで、使用する機械のインターフェイスに隔たりがあると、接続に支障がでる可能性もあります。そこで必要になるのが、国際的な標準化なのです。つまり、IoTを駆使した省人化には国際的な標準化は避けて通れない問題となってくるのです。

 

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