データセンターの変遷から見る、今後の展望とは?

クラウドコンピューティングの広がりによって「データセンター」の利用も一般的になりました。設備や保守、セキュリティー対策などの手間が省けるため、企業にとってはメリットのあるものと考えられています。データセンターについて、現在の動向や今後の展望、省エネや効率化について紹介します。

データセンターの変遷

日本データセンター協会ではデータセンターを「インターネット用のサーバーやデータ通信、固定・携帯・IP電話などの装置を設置・運用することに特化した建物」と説明しています。ここではデータセンターの変遷についてご紹介します。

2005年ごろまでのデータセンター

データセンターのように通信に必要な装置を専用の建物に集約する手法のはじまりは、電話の交換局であったといわれています。通信の要となる機器を収める建物であるため、強くしっかりとした建物が使われていたほか、配線に配慮した二重床といった構造も電話の交換局の時代に始まりました。またこのころは、企業のコンピューターは社内のコンピューター室で管理されているのが一般的でした。

1990年から2005年ごろになるとデジタル交換機が普及したことにより、従来の交換機に比べて設置スペースが大幅に減少します。このスペースをほかの事業者に貸し出し、その事業者がそこに通信装置といったものを設置したものがADSLです。

2005年から現在、そして今後のデータセンター

安価で高速なインターネットが普及したことを受け、社内サーバーのアウトソーシング化、つまり通信のための装置だけでなくサーバーが集約されたデータセンターの需要が伸びていきます。そして2015年ごろからはクラウド化の動きがはじまり、IoTといったものも普及しはじめました。これに伴い、やりとりされるデータの量は爆発的に増加しています。膨大なデータを集めたり処理したりするためには、従来のような一箇所に集中したデータセンターでは技術やスペースの面で難しくなってきます。そこで必要になってくるのが「エッジコンピューティング」。つまり無数の小規模データセンター(エッジサーバー)を各地(街角や住宅内など)に配置し、近隣で発生するデータを各自で分散処理したうえでクラウドコンピューティングと連携させる技術のことです。エッジコンピューティングを進めるために必要なのは、ユーザーに近い場所、つまり各地にサーバーを用意すること。そのためサーバーを収めるためのデータセンターも、今後さらに数が増えていくと見込まれています。

データセンターの現状の課題

前述のようにインターネット技術の発達によるクラウド化やIoTの広がりを受け、データセンターの需要は高まりを見せています。しかし同時に変化していく現状に対して課題も抱えています。これまでのような集約型から分散型への移行や、扱うデータの種類が増えることによるセキュリティーの問題。また省エネや省スペースの問題は環境意識の高まりとも相まって、大きな課題となっています。

データセンターの省エネ

データセンターの省エネは大きく2つに分けることができます。1つはサーバーのように、データセンターに設置される装置そのものの省エネ。もう1つはデータセンターの空調といった、データセンターの設備に対する省エネです。処理速度の早いサーバーは消費電力が高く、発熱量も多いことがほとんどです。サーバーにも多くの電力を注ぎ、さらに発熱するサーバーを冷却するための空調にたくさんの電力を使うのは、環境的な視点からも、コスト的な視点からも現実的とはいえません。そのため今後の変化に対応していくためには、データセンターの省エネが課題となってくるのです。

データセンターのスペース効率化

通信されるデータ量の増加にともない、サーバーといった装置の数も増加していきます。装置の数が増えれば単純に設置面積も増加します。しかし、発熱量の大きなサーバーを無計画に密集して設置することは、サーバーの冷却の効率を下げるため、データセンター全体の使用エネルギー量を増加させてしまうことになります。今後の動きに対応していくためには、省エネと省スペースの両方を考える必要があるのです。

PUEおよびSpUEについて

データセンターの効率を示す数値としてPUEやSpUEという指標があります。

  • PUE(Power Usage Effectiveness)

PUEは電力使用効率の指標です。データセンター全体の電力使用量をIT機器に使用される電力量で割ったもので示されます。つまり、この数値が1に近づくほどデータセンターで使用される電力にムダが少ないことを意味しています。しかしデータセンターの空調のようなものに使われる電力を単純な方法で減らすためには、サーバー同士の間隔を大きく取るといった対応が必要になります。今後爆発的に増えていくデータを支えるためには、このような単純な手法を追い求めることは、本当の意味で効率的であるということはできません。

  • SpUE (Space Usage Effectiveness)

PUEに代わる指標として注目されているのがSpUEです。SpUEは電力だけに着目したPUEとは異なり、データセンターのスペースやラックごとの消費電力など複数の視点からデータセンターの効率を評価しています。

SpUEで評価されるのは次の3つのパラメーターです。

・スペース密度(サーバールームの床面積をラックの数で割ったもの)

・ラック電力密度(データセンターで使われる各種電力をラックの数で割ったもの)

・スペース電力密度(電力をサーバールームの床面積で割ったもの)

SpUEで特徴的なのは、1を目指すべきであったPUEと異なり、目指すべき数値のゴールを持たないことです。例えば高いパフォーマンスを誇るデータセンターを目指す場合には、ラック電力密度は高くなります。逆に高い収容率を誇るデータセンターを目指す場合には、スペース密度の値が高くなります。このように、企業が求めるニーズによってSpUEの目指すべき数値は変化します。

データセンターの効率化を目指すためには、データセンターの目的や稼働環境などについて見直すことが重要になるでしょう。

データセンターにおける省エネ・効率化の事例紹介

NEDOによるラオスのデータセンター

NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)では、ラオスにコンテナ型データセンターを設置。省エネに優れたコンテナ型データセンターの実証実験を開始しました。コンテナ型データセンターは、従来のようなビルに比べて工期が3分の1程度の長さであるため、今後爆発的に増えていくデータに対応するためのデータセンターとしてニーズが見込まれています。

また、このデータセンターでは「間接外気冷却方式」を採用しています。これは一般的なクーラーのような室内循環式空調に、熱交換器による補助空調を追加したものです。ラックを通り抜け熱を持った空気を、熱交換器を通すことで冷却するもので、ラオスの事例では熱交換器の排熱側には外気による空冷が用いられています。

NTT東日本の事例

NTT東日本、富士通、高砂熱学工業が一般社団法人EEC総研と共に実証実験を行っているのは、サーバーやコンピューターなどを液体に浸して冷却する方法です。同じ温度のものによる接触の場合、空気よりも液体の方がより効率的に熱を奪うことができます。この理論を応用し、「フロリナート」と呼ばれる電気を通さない液体の中に装置を浸すことにより、機器を効率的に冷却できるようになります。また液体による冷却は空気による冷却よりもスペースを取らないため、スペースの効率化においても期待が持たれています。

まとめ

IoTを支えるインフラとしてデータセンターの需要はますます高まる傾向にあります。またそれに伴い、省エネや効率化に対するニーズもより高まっていくでしょう。

 

参考:

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