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    工場のファクトリーオートメーション(FA化)のプロセスと今後の動向

    近年ではIoTやインダストリー4.0の動きも受けて、新たなステージでのファクトリーオートメーションが進められています。近年のファクトリーオートメーションはこれまでのものと何が違い、何が新しいのかを見ていきましょう。

    ファクトリーオートメーション(FA)と業界の歴史

    1955年(昭和30年)ごろ

    戦後に始まったファクトリーオートメーション。最初の動きは電動の工作機械による工程の連続化でした。具体的な例としては、ストリップミル(連続圧延機)や連続鋳造などが挙げられます。電動機で圧延機の出力や速度が正確に制御できるようになったことにより、複数の加工機械を近接して配置できるようになり、それまでは圧延機一つひとつに工程が分かれていたものが連続で加工できるようになりました。これにより品質が安定した鋼板や鋼材が大量生産できるようになり、高度経済成長を支えていくことになりました。

    1965年(昭和40年)ごろ

    自動化が大きく進むのは、1965年(昭和40年)ごろです。IC(集積回路)が登場し、工作機械に組み込まれたことにより、第一世代ロボットともいわれる産業用ロボットが実用化されていきました。このころの産業用ロボットは、外部からの操作によって与えられた動きを再現するティーチング型が主でした。また、このころから、コンピューターと機械をつなげる動きが加速していきます。

    1975年(昭和50年)から2000年(平成12年)ごろ

    ファクトリーオートメーションにより、工場が現在の姿に近づくのは1975年(昭和50年)ごろからです。

    工作機械の工具の先端位置といったものを座標によって数値化して制御するNC化に伴い、旋盤やフライス盤などの加工工程の自動化が進みました。それに伴い、ひとつの工作機械で複数の工具を自動で使い分けるマシニングセンタのような機器も広がりを見せます。また、被加工物の状態や加工の際の圧力などを察知するセンシング機能を備え、その数値を動作の制御へとフィードバックすることのできる第二世代ロボットが増えていきました。センシング機能の発達により、検査や試験工程などの自動化が進んだのもこの時期です。工程の効率化や製品価格の低下のため、産業用ロボットは、工作機械だけでなく、塗装や組み付けなど、広い範囲へと広がっていきました。

    さらに2000年(平成12年)が近づくころになると、CADやCAMといった技術が導入されるようになり、製造現場だけでなく設計などの現場にもオートメーション化の流れが広がりました。

    近年のファクトリーオートメーション(FA業界)の動向

    これまでは現場での工程や作業の自動化を軸に進められてきたファクトリーオートメーションですが、近年ではICTの発展によるネットワーク化やマルチメディア化などを軸に、新たな局面を迎えています。

    制御盤製造4.0

    ファクトリーオートメーションの現在

    2006年(平成18年)にドイツで始まった高度技術戦略、インダストリー4.0。ここではIoTと呼ばれるインターネットとモノの融合を核に、製造業のあり方が大きく変わろうとしています。

    例えば従来であれば、生産工程の効率化は熟練作業者の勘やコツなどにより、無駄を見つけるのが常でした。しかしIoTにより、工程設備の装置一つひとつの稼働データや、実際の加工の際の処理データなどがインターネットを通じて自動的にデータベースに収集されるようになりました。これをシステムによりグラフのような形で可視化し、ライン全体の効率や無駄をひと目でわかるようにすることができます。それだけでなく、従来はそれぞれが個別にやりとりをして確認していた、製品出荷におけるメーカーやサプライヤーでの在庫の状況や受注の状況、物流の状況なども、ラック部分に取り付けられたセンサーからインターネットを介して自動的に集約・解析することが可能になります。

    また、IoTの流れはモノ作りの現場だけでなく、設計やメンテナンスの領域にも大きな変化をもたらしています。従来であれば、例えば自動車のようにエンジンや車体など複数のシステムからなる製品を作る際には、各システムの完成を待ち、それらを試作で組み合わせてから評価を行わなくてはなりませんでした。そのため、不具合が起きた際には各システムでの設計段階まで立ち返り、そこから再び試作、評価を行っていました。しかし近年ではモデルベース開発が普及しており、各システムの設計段階で全体と組み合わせてコンピューター上でのシミュレーションを行うことで、試作以前の完成度を高め、評価での不具合発生を減らすといった取り組みが行われています。またメンテナンスの場面では、従来であれば定期的に点検を行い、必要があればメンテナンスを行っていたものが、工程機械の稼働状況がリアルタイムで工作機械メーカーに送られるようになり、定期点検を行わなくてもメンテナンスが必要な機械を把握することができるようになるといった変化が進んでいます。

    このように、工程にある機械や装置がインターネットでつながり、自動的にそのデータを収集・解析し、さらにそれが工程の機械や装置の制御へとフィードバックされていく。これが現在のファクトリーオートメーションの形です。

    インダストリー4.0やIoTの流れを受け、このような動きは今後さらに広がっていくことが予想されます。

    まとめ

    IoTだけでなくAIの技術の発展も伴い、例えば工程上のトラブルであれば、AIがトラブルを予知して自動的にアラートを出すような動きも今後は増えていくでしょう。従来のファクトリーオートメーションのように工程の自動化だけでなく、工場全体がひとつのシステムとして自動化されていくことが予想されます。

     参考: