キャビネットの保護等級規格 IPやNEMAについて

キャビネット(エンクロージャー)の保護等級規格は、代表的なものとして「IP保護等級」と「NEMA保護等級」があげられます。IPやNEMAの保護等級の内容や、独特の表記が表す意味などについてご紹介します。

IP保護等級とは

IPとはIngress Protection。つまり外部からの侵入に対する保護のことで、IP保護等級は、国際電気標準会議IEC(International Electrotechnical Commission)によって定められています。

IECでは電気に関わる製品の用語や記号、互換性のほか、性能や安全性などの国際規格を定めており、キャビネット(エンクロージャー)についても、人体や物体の接触、水の侵入に対する保護性能の評価(テスト)方法を定めています。この評価を満たす製品には世界共通のIP表示を行うことができ、国際的にその性能を示すことができます。

IP保護等級の表記

IP保護等級は、人体や物体に対する保護等級と水の侵入に対する保護等級の2つの組み合わせによって定められます。

IP保護等級の表記は「IP21」などのようにIPの後に2つの数字からなり、最初の数字が人体や物体に対する保護等級を、後ろの数字が水の侵入に対する保護等級を表しています。「IP21」であれば「2」が人体や物体に対する保護等級、「1」が水の侵入に対する保護等級を示していることになります。人体や物体に対する保護等級は0から6まで、水の侵入に対する保護等級は0から8まであり、どちらについても数字が大きくなるほど保護性能が高くなります。

IP保護等級の内容

具体的な保護性能や評価方法についてもご紹介しましょう。

例えば人体や物体に対する保護等級「1」は、手などの接近からキャビネットの内部を保護できることを示します。評価方法としては直径50mm以上の固形物体が内部に侵入しないことを確認します。保護等級「2」では指などの接近からの保護になり、評価される固形物体は直径12mmとなります。保護等級が上がるごとに侵入を想定する物体が小さくなっていき、保護等級「5」以上では粉塵(じん)の侵入が想定されています。

水の侵入に対する保護等級では「1」は垂直に落ちてくる水滴からの保護が要求されます。基本的に数字が上がるごとに水が掛かる方向や水の量、水圧などが増していき、保護等級「5」・「6」では噴流に対する保護性能が想定されています。しかし保護等級「7」では水没、「8」では水面下での使用が想定されていますが、「7」や「8」では噴流に対する保護については想定されていません。強い流れの中での水没が想定される場合などは「IP66/IP67」のように両方の保護等級を満たす必要があります。

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NEMA規格とは

NEMA規格とは、米国の機関National Electrical Manufacturers Associationが制定した規格です。キャビネット(エンクロージャー)についてはNEMA250「Enclosure for Electrical Equipment(1000V Maximum)」にて規定されています。

NEMA規格の表記

NEMA規格では、保護等級をType番号で表記します。「NEMA 6」や「NEMA Type6」のように表されます。番号により保護対象が定められていますが、IP保護等級のように数字が大きくなれば保護性能が高くなるという訳ではありませんので、Type番号ごとの保護対象を正しく把握しておくことが必要になります。

NEMA規格の内容

NEMA規格においてType番号ごとに定められている保護の対象は下記のようになっています。

表に示したType1~6、12、13については非防爆用です。防爆用についてはType7~11で規定されています。

NEMA規格ではIP保護等級と同様に、外部からの人体や物体などの接近に対する保護や、水の侵入に対する保護も規定されています。一方で雪やみぞれ、氷結などからの保護や、腐食、防爆など規格はNEMA規格にしかありません。したがって防爆のように、NEMA規格のみで定義されている性能が必要なシーンで使用するキャビネット(エンクロージャー)の場合IP表記だけでは十分とは言えません。

キャビネットを使用するシーンや周辺の環境に合わせて、IPだけでなくNEMA規格表記もあるものを選択することが大切です。

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まとめ

キャビネットに適用される代表的な国際規格であるIP保護等級とNEMA規格。IP保護等級のほうが広く使用されてはいますが、防爆や氷結などNEMA規格のみで規定されている項目もあります。

電気の安全のため、キャビネットを使用する環境に合わせてIP保護等級やNEMA規格も選定の参考にするようにしましょう。

 参考:

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