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    サーバーラックの耐震規格基準と固定について

    地震が多い日本。今後大規模な地震が起きる確率も高いと言われ、どの分野においても地震への備えは大きな関心事です。また近年特に注目を集めているのが、規模の大きな震災があったとしても、できるだけ通常と同じように稼働できようにするという事業継続マネジメントという考え方です。サーバーにもこの考え方が適用されます。通信やネットワークを支えるサーバーは、被害を受け稼働できなくなってしまうと、他の多くの部分に影響を及ぼしますので、他の事業を稼働させるためにもサーバーへの被害を減らそうというものです。

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    ここでは、大きな地震があったときにサーバーを守るための、サーバーラックの耐震についてご紹介します。

    サーバーラック耐震規格の種類

    サーバーラックの耐震規格では、地震などの揺れからサーバーを守るため、サーバーラックの物理的強度や機能維持性能などを定めています。ラックの耐震基準については、国や団体によりいくつかのものがありますが、日本国内において特に意識しておきたいのは下記の3つの規格です。

    NEBS規格

    アメリカで1970年代から使用されていた耐震規格で、一般的な通信装置を収納するサーバーを対象としています。アメリカで作られた機器は、収納するラックがこのNEBSを満たしていることを求めていますので、しっかりと把握しておきたい規格です。国際的によく使われる規格としてはIEC(国際電気標準会議)があり、IECでも耐震に関する規格はあるのですが、NEBSのほうが一般的に使用されています。

    NEBSではラックの耐震性能をZONE 0~ZONE 4 の5段階に分けており、さらにそれぞれのZONEが3つのランクに分かれ、計15ランクでの性能が定められています。

    NTT耐震規格

    NTTファシリティーズが策定した日本の耐震規格で、一般的な通信装置を収納するサーバーラックを対象としています。地震を模した加振を行い、ラックの物理的強度などを評価します。

    NTT耐震規格では、耐震性能を震度5強・震度6強・震度7強の3ランクに分けています。

    NTTファシリティーズ耐震試験規格

    NTT耐震規格同様、NTTファシリティーズが策定した日本の耐震規格です。NTT耐震規格が一般的な通信装置を収納するサーバーラックを対象としているのに対し、こちらはiDC(インターネットデータセンター)などで使うサーバーラックを対象としています。そのため、事業継続マネジメントなどの考え方から、NTT耐震規格よりも厳しい基準となっています。

    NTTファシリティーズ耐震試験規格では、耐震性能がR04・R06・R08・R10・R12の5つのランクに分かれています。

    耐震に考慮したラックの設置について

    地震に備えるためには、サーバーラックが耐震規格を満たすだけでは意味がありません。どんなに丈夫なサーバーラックを用意したとしても、サーバーラックが倒れてしまったのでは地震対策になりません。

    ここではサーバーラックを床に固定する方法と、サーバーラックに対する免震装置についてご紹介します。

    サーバーラックの固定について

    サーバーラックの耐震で大切なのは、耐震性能をもったサーバーラックを床にしっかりと固定することです。しかしこのとき注意が必要なのは、二重床です。

    OA環境に配慮し、配線などが床下を通ることができるようになっているインテリジェントビルなどで見られる二重床。しかし二重床の上床はメンテナンスなどを目的として比較的軽く強度の低い素材でできていることがほとんどです。そのためサーバーラックを二重床の上床に固定したのでは、十分な耐震性能を得ることができません。二重床の下にあるビルの床スラブに架台などを固定し、その上にサーバーラックを固定する必要があります。

    サーバーラックを床スラブに固定する方法としては、架台を使用するほか、トグルバーを使用する方法があります。トグルバーでは、床スラブとラックのキャスターを完全に固定してしまうのではなく、ラックのキャスターがトグルバーの範囲内で動くことができるような形になります。そのため中程度以下の地震においては免震のような効果を期待することができます。

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    サーバーラックの免震について

    サーバーラックを床に固定する方法とは別に、サーバーラックを免震台の上に設置する方法があります。しっかりとした固定を行うのに比べて床材の強度に関係がないのが利点です。しかし、地震による揺れを吸収するために免震台が大きく動く可能性がありますので、サーバーラックの周辺に十分なスペースを確保する必要があります。2004年に発生した新潟県中越地震では、免震台の可動域が20cmでも十分に揺れを吸収できなかったという報告もあります。免震台を選ぶ際には、可動変位量(ストローク)が大きいものを選ぶと、より高い耐震性能が望めるでしょう。床の状態や周囲のスペースなど、環境にあった耐震性能を持つサーバーラックを選び、万が一の際に備えるようにしましょう。

     参考: